マンション売却豆知識コラム

2022年3月

相続手続きには期限があるのでしょうか。
また相続手続きをせずに放置していたらどうなるのでしょうか。
今回は、相続手続きの期限や放置していたらどうなるかについて解説します。
ぜひ参考にしてみてください。

□相続手続きをしなかったらどうなる?

相続手続きは行うのが大変そうでなかなか手をつけられないと思っている方はいらっしゃいませんか。
そんな相続手続きを行わずに放置していたらどうなるのでしょうか。
ここでは、相続手続きを行わないことによるリスクをご紹介します。

相続手続きをしなかったら、主に3つのリスクが生じるでしょう。
まず1つ目は、新たな相続が発生して、相続人が増加して遺産分割協議が複雑化することです。
2つ目は、相続人の気持ちや意見が変わり、相続手続きに非協力的になることです。
そして3つ目は、相続人の誰かが認知症などになってしまって、必要な時に手続きすることが難しくなることです。

まず1つ目の新たな相続が発生して、相続人が増加して遺産分割協議が複雑化することから解説します。
例えば、祖父が30年前に死亡したとします。
祖父の子どもにあたる人物が相続人に該当しますが、何人か兄弟がいる場合を想定してください。
そして、彼らも亡くなった時に、彼らの全ての子どもが相続の対象となります。

この時点で祖父の相続手続きが完了していなかったら、孫の代まで手続きが残っていることになります。
このように1世代、2世代、3世代と放置するごとにどんどん新たな相続が発生して、その後の遺産分割協議が複雑になります。

その理由は、遺産分割協議は、相続人が全員揃って話し合う必要があるためです。
もし数十人もいたら、彼ら全ての連絡先などを入手して、全員の予定を合わせて遺産分割協議をすることになります。
非常に複雑で困難になることが予想されるでしょう。

2つ目は、相続人の気持ちや意見が変わり、相続手続きに非協力的になることです。
相続が発生した時には、相続に協力的だったのにも関わらず、数年経つと気が変わっていることもあります。
よくあるのが、相続の発生が判明した直後には、相続の同意が得られていたけど、実際の手続きは数年放置してしまっていた例です。

不動産の名義を変更したり、預金をおろしたりするためには、相続手続きをする必要があります。
最初の頃は関心がなくても、数年経って不動産の名義を変更したくなる可能性もあるでしょう。
その時には、相続人の同意が得られなくなっているかもしれません。
相続人同士の話し合いが円滑に進んでいるうちに、手続きを済ますことが良いでしょう。

3つ目は、相続人の誰かが認知症などになってしまって、必要な時に手続きすることが難しくなることです。
認知症などになり判断能力が低下すると、遺産分割協議への参加ができません。
そのため、銀行での手続きや相続手続きなどのさまざまな手続きができなくなってしまいます。

認知症になってしまった場合、成年後見人を選定する必要があります。
しかし、選定するためには時間もお金もかかってしまいます。
認知症になるリスクも考慮したうえで、問題のない時に手続きを済ませると良いでしょう。

□期限のある相続手続きをご紹介

続いては、期限のある相続手続きをご紹介します。
期限の短いものから順番に見ていきます。

最も期限が短いもので、相続開始から3ヶ月となっています。
3ヶ月以内にやる必要のある手続きは相続放棄です。
相続放棄とは、亡くなった人の遺産を相続しないための手続きを指します。
相続放棄をすることで、相続権を放棄できるのです。

相続放棄は、借金にも適用されます。
そのため、遺産よりも借金が多くマイナスになってしまう場合に検討されることが多いでしょう。

4ヶ月以内にする必要があるのは、準確定申告です。
準確定申告とは、亡くなった人の代理で確定申告を行うことです。
準確定申告が必要になるのは、主に亡くなられた方が個人事業主だった場合です。
4ヶ月以内に税務署にて行いましょう。

10ヶ月以内には、相続税の申告をする必要があります。
遺産の総額が基礎控除を超える場合に相続税が発生します。
申告を忘れて納付期限を過ぎてしまったら、延滞税がかかるため注意しましょう。

1年以内には、遺留分の侵害額請求をします。
法定相続人に最低限保障されている遺産取得分のことを遺留分といいます。
遺言書によって遺産が受け取れなかったり、法律で決められた相続分よりも少なかった場合に請求できます。

2年以内には、埋葬料や葬祭費の受給手続きをする必要があります。
相続手続きとは少し異なりますが、埋葬料や葬祭費の受給にも期限があります。
亡くなった方が健康保険に加入していたか確認しましょう。

□まとめ

この記事では、相続手続きの期限に関して解説しました。
相続手続きを放置することによるリスクもありましたね。
期限を確認して、忘れないように済ますことをおすすめします。

相続した家を売りたいとお考えの方はいらっしゃいませんか。
そんな方へ向けて今回は、相続した家を売る時にかかる税金について解説します。
知っておきたい特例もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

□相続した家を売る時にかかる税金とは?

相続した家を売ると、どんな税金がかかるのでしょうか。
主には以下の3つの税金が挙げられます。

・不動産の売却にかかる所得税
・登録免許税
・印紙税

以上の3つについて詳細を解説します。

まず1つ目の所得税に関してです。
家や土地を売った時に利益が出たら、その時所得税が発生します。
つまり、利益が出るということは譲渡所得になるということで、譲渡所得の部分に課税されるのです。

不動産の売却にかかる所得税と一言でいうことが多いですが、内訳は所得税、住民税、復興所得税です。
この所得税は、不動産を保有していた期間に応じて税率が異なってきます。
保有期間が5年以下の場合は、短期譲渡所得に分類されます。
短期譲渡所得は、税率が高くなります。

5年を超える場合には、長期譲渡所得に分類されて短期よりも税率が低いです。
相続した家の場合は、保有期間をどのように計算したら良いのでしょうか。
それは、被相続人が取得した日から相続人が売却するまでの期間で計算してください。
相続が発生した時点から計算するわけではないことに注意が必要です。

また、不動産の売却にかかる所得税の中の復興特別所得税についてもご紹介します。
これは、東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するための税金です。
令和19年まで所得税の税率に2.1パーセントが加算されます。

復興特別所得税の税率は、譲渡所得の0.63パーセント、または0.315パーセントです。
短期譲渡所得の方が税率が高くなります。

続いては、登録免許税です。
家や土地などの不動産は所有者の名義を不動産登記簿に登録しておく必要があります。
登録しておくことで、権利関係を明確化できます。
また、ローンなどの借金を抱えていて抵当権がついている場合は、それについても登記が必要になります。

家を売却すると所有者が変更されます。
そのため、所有権移転登記が必要になるでしょう。
ただ、これに関しては買主側が費用を負担するため、売主は負担の心配がいりません。

家を売った時に登記が必要になるのは、売却した金額でローンを一括返済する場合です。
完済できたら抵当権を外せるようになるので、抵当権抹消登記の手続きをする必要があるでしょう。
その時に登録免許税が発生します。

また、印紙税についても解説します。
印紙税は、文書に収入印紙を貼り付けることによって納税できます。
家を売る時には、売買契約書に貼ります。
契約した金額に応じて、印紙税の額は異なります。

□不動産売却をする場合に知っておきたい特例とは?

続いては、家を売る場合に知っておきたい特例をご紹介します。

1つ目は、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例です。
相続税の申告期限から3年以内に家を売ることで税負担が軽減されます。
所得税と住民税の課税対象である譲渡所得の額を減らせるため、節税となるのです。

2つ目は、相続した空き家を売却した時の3000万円控除についてです。
空き家を相続した場合、一定の条件を満たすことで3000万円の特別控除が利用できるようになります。
具体的には、家を売却した金額が3000万円以下だった場合、特別控除額だけで譲渡所得がなくなるため、課税されません。

□実家の売却で損しないためのポイントをご紹介

最後に、実家を売却するにあたって損しないための2つのポイントをご紹介します。

1つ目のポイントは、実家を購入した当時の資料を探すことです。
当時の資料とは、売買契約書などのことです。
これがあると税金を節税できる可能性があります。
その理由は、所得税の計算で使用する取得費を高く設定できるからです。

実家を売ることによって利益が出たら、譲渡所得に合わせて税金を支払う必要があります。
その際の計算式では、取得費が関係してきます。
取得費が大きければ大きいほど、譲渡所得を抑えられるため、支払う税金も安くなるのです。

もし、購入した時の金額がわからなかったら、売った金額の5%が取得費として計算されることになります。
正確な取得費がわかった方が、税金を抑えられます。

2つ目は、3年以内に売却することです。
3年以内に売却することで、特例や特別控除が受けられます。
特例や特別控除を適用するかしないかで税額が大きく異なるでしょう。
売却するのが決まっている場合は、早めに手続きすることをおすすめします。

□まとめ

今回は、相続した家を売りたい場合の税金について解説しました。
主には、不動産の売却にかかる所得税と登録免許税、そして印紙税の3種類でした。
また、早めに売却することで適用できる特例もあります。
手遅れになってしまわないよう、ご紹介した情報を参考にしてみてください。