2021/09/24(金)
不動産を共有名義で所有することで、トラブルが発生することがあります。
例えば不動産の売却や相続を行う時に、名義人同士で意見の食い違いにより衝突が生じる可能性があります。
今回は、不動産を共有名義で所有することで発生しうるトラブル例と、トラブルを回避するためのポイントを紹介します。
□共有名義とは?
共有名義物件は、複数で権利を分け合う不動産のことです。
また、各名義人に分けられた持分のことを「共有持分」と言います。
共有持分は、所有する不動産の面積の割合を示すのではなく、不動産に対しての権利の割合を示します。
例えば、共働きの夫婦が結婚後に共同で家を建てた場合、夫婦2人の共有名義で、親の不動産を子供3人が共有して相続した場合、兄弟3人の共有名義になります。
□共有名義でよくあるトラブル例
*土地を兄弟で親から相続したケース
両親に不幸があり、実家の家や土地を相続することになった兄弟が、トラブルを回避するために共有名義で相続することがあります。
年月が経つにつれて、兄弟のいずれかが実家を売却したいと考えるようになるかもしれません。
しかし、共有名義の場合1人の意思だけでは売却することができないのです。
共有名義物件の売却には、他の共有名義人全員の同意が必要なため、他の名義人が売却に反対の場合はトラブルに発展してしまいます。
*相続した土地がすでに共有名義だったケース
相続した物件を兄弟が共有名義で所有していてその兄弟も他界してしまった、などのように自分が相続した時にはすでに共有名義であるケースがあります。
このケースでは、相続した兄弟がそれぞれの子供に相続登記を行う必要があるのですが、いずれかの子供への相続登記を放置していると、不動産を売却しようとしても共有持分を持った親戚の同意が得られず売却できないことがあります。
また、共有名義の親戚との関係性が悪く、相続登記の手続きが進まないというケースもあります。
*離婚により夫婦間で対立するケース
夫婦が結婚後に共有名義で不動産を購入した場合、離婚時にマイホームの権利で争いになることがあります。
マイホームの土地・建物を夫婦で購入するとき、夫婦それぞれが住宅ローンを利用して、共有名義で購入する夫婦は多いです。
もし離婚するとなり、夫がマイホームの権利を取得するとなると、夫が負う債務を銀行に補填する必要があります。
その債務を補填するための自己資産が足りずに、止むを得ずマイホームを売却せざるを得なくなることもあるのです。
□共有名義でのトラブルを回避するポイント
まず1つ目に、トラブルを避けるためには、共有名義人が誰なのか共有者を明らかにしましょう。
売却したい時に、だれと話し合う必要があるのかを把握しておくことで、売りたくても売れないというトラブルを回避できます。
共有名義人は登記事項証明書(登記簿謄本)で簡単に確認できます。
お近くの法務局に行けば取得できるので、売却を検討し始めたら事前に確認しておきましょう。
2つ目に、共有名義の不動産を売却する場合は費用の負担割合を決めておきましょう。
売却活動には費用がかかります。
具体的には、仲介手数料、測量費、印紙代、登記費用、諸税金がかかってきます。
売却時にこれらの負担が曖昧だと、余計なトラブルを生む原因になってしまいます。
一般的には、費用負担の割合は共有持分の割合をベースに決めることが多いです。
3つ目に、売却額の最低金額を決めておきましょう。
共有名義人全員で、売却額の最低金額を話し合っておくと、売却後のトラブルを回避できます。
売却活動を始めてから長期間経っても、なかなか売れないという可能性もあります。
その場合、最悪売却価格を少しずつ引き下げていかざるを得なくなるでしょう。
また、購入希望者が値下げ交渉を行ってくる可能性もゼロではありません。
最低売却額を決めておけば、引き下げの限度の判断基準になるだけでなく、不動産会社も売却方針が決めやすくなるというメリットもあります。
4つ目に、委任状を活用しましょう。
共有名義不動産の売却をするときは、売買契約・重要事項説明・代金決済など共有名義人全員の立会いが必要なシーンがあります。
しかし、複数の共有名義人がいる場合、全員のスケジュールを合わせてこれらの活動をしていくのは困難です。
また、遠方にいる共有名義人もいらっしゃることでしょう。
そのようなときに活用いただきたいのが、委任状による代行売却です。
代行売却とは、他の名義者に自身の売却に対する意思を委任する方法です。
委任状に決まった形式はありませんが、明確に委任していることが誰にでもわかるように記載するようにしましょう。
最後に、共有名義不動産の相続時には、換価分割を検討しましょう。
換価分割とは、代表者1名が不動産を丸々相続し、その代表者が不動産を売却してから相続人全員に現金を分ける方法です。
この方法であれば単独名義不動産として不動産を売却できるため、共有名義不動産の売却で生じるようなトラブルを事前に回避できます。
その後売却で得た現金を相続税に充てることも可能です。
ただし、売却でかかる費用や税金の負担については、事前に話し合って決めておく必要があります。
□まとめ
今回は、共有名義不動産でよくあるトラブル例と、トラブルに対処するためのポイントを紹介しました。
共有名義の不動産を売却するときには、トラブルに発展しないように不動産売却のプロに相談や売却依頼をするのもおすすめです。
滋賀で共有名義の不動産売却をお考えの方は、ぜひ当社までご相談ください。